2009年10月の記事一覧
彫刻あらいぐま、またまたまた参上!!!
埼玉県立近代美術館
今回で第4回目となった親子あらいぐま。
当日は心配していた雨も上がり、総勢7組15名の皆さんにお集まりいただきました。 もちろん皆さん「彫刻を洗うのは初めて」の方ばかり。
まず、集合場所の教室で、洗浄する彫刻の紹介や、洗浄の方法について説明をします。 これで準備は万端。皆で野外に移動して、いよいよあらいぐまのはじまりです。今回は人数が多いので、A、B班の2班にわかれて活動します。
A班はまず、美術館エントランス正面にあるフェルナンド・ボテロの『横たわる人物』にワックスがけ作業を行います。
洗浄作業はあらいぐまスタッフがあらかじめ終えておいたので、作業を始めるのは、洗浄が終わり、像の表面の水気をふきとった後になります。
ワックスがけに使うのは、蜜蝋にリグロインという溶剤を加えて薄めたものです。そのワックスを刷毛で像全体にむらなく塗布していきます。
像全体に塗布し終えたら乾いた布でその上からこすり、光沢がでるまで磨き上げます。その際、ワックスのむらができているところなどは、スポンジにリグロインを浸み込ませて蝋を溶かしながら磨きます。ワックスのむらがなくなり、像全体に光沢が出てきたら完成です。
一家族に一つワックスと刷毛を配ると、子供たちがワックスを塗り、お母さんたちがその修正をするという流れができました。
刷毛を使ってワックスを塗っていく作業では、子供たちも手に蝋が付くことも気にしないで夢中です。でも、ワックスもすぐに固まったりしてしまって、ムラなく塗ることは少し難しい…。結構力の要る仕上げの磨きでは、お母さんとお父さんたちが大活躍です。
ウエスなどで磨くのですが、つやが出るまで磨くのは大変な作業。そこで、大体の作業のあとの微調整については、あらいぐまスタッフが引き受けさせていただきました。
屋外に曝され続けたブロンズ像は、土埃や大気中に含まれる油分の付着、腐食生成物(緑青)などによって像本来の姿が変わってしまうだけでなく、像を脆弱化させ、劣化する原因となります。 ワックスがけをすることにより、像全体に保護膜ができ、大気中の有害な要因からの保護効果が期待できます。 しかし、蜜蝋を使ったワックスは風雨により少しずつ減少するので、屋外設置の場合はメンテナンスが必要となるのです。
一方のB班は、美術館カフェの横に位置している橋本真之さんの『果実の中の木もれ陽』を洗浄します。
まず、洗浄のためにウォーターガンで全体を濡らします。子どもたちは大きな水鉄砲(?)に大喜び。扱いもなかなか上手です。 さて、十分に濡らしたので、いざ汚れを落としにかかりましょう!薄めた中性洗剤を霧吹きで吹き付けて、水で濡らしたスポンジとブラシでゴシゴシと洗います。
週末の愛車洗浄で鍛えられたお父さんの腕はさすがで、大きなストロークでどんどん磨いていきます。この作品は木の下にあるため中々汚れが激しいのですが、いつもより多い人数でやっているので、キレイになるのがかなり早いです!
子どもたちは背が低いので下の方を担当。私たちの高さからは見えないようなところまで真剣に磨きます。これぞ、子どもならではの視線ですね。 みんながスポンジを洗うバケツの中はすぐに真っ黒です。 さらに穴から一生懸命手を入れて裏側まで洗ってくれるお子さんもいて、嬉しい限りです。
さぁそろそろいいかな?再びウォーターガンで洗剤と汚れを落とします。 とってもキレイになりました。洗い終わった彫刻は表面がピカピカして、気持ちよさそう!見ているこちらまで気持ちいいです!
後半は交替をして、A班が洗浄の残った部分を、B班がワックスがけの続きにチャレンジしました。 あらいぐま体験の1時間が過ぎるのはあっという間。作業が終わったら、教室に戻ってお楽しみの時間です。
3択クイズでは、「ボテロがもっている果物はどれ?」「橋本さんの作品、穴は全部でいくつあったかな?」など、難しい問題にも皆さん高い正答率!素晴らしいです。
最後の「あらいぐまはどうでしたか?」という設問では、選択肢の「つかれた」「たのしかった」「またやりたい」の全部に手をあげてくれる方も多く、あらいぐまスタッフ一同感動しました!皆さんぜひまたいらしてくださいね。 最後に、あらいぐま参加証、記念写真、スタッフお手製のブンブンこまのプレゼントの贈呈をして終了です。 皆さん、本当にお疲れ様でした。