群馬県立館林美術館を訪ねて

群馬県立館林美術館

リポーター : M.S.

 多々良駅を下車して出迎えていたのは狸の親子の置物でした。 20分ほど歩き、橋を渡ると群馬県立館林美術館の白く細長い平屋の建物が見えてきました。

 美術館の広くながらかな芝生には、彫刻のウサギが走っており、館内に入ると半円形のガラス張りの光の回廊が続きます。学芸員の松下様から、館林美術館は、まわりに畑や水田が広がって眺めの良い場所で、外の自然の空間と中の美術館がつながっていて、屋内展示物でありながら、外に開かれている等の説明を伺いました。 

 展示室では、フランソワ・ボンボンの彫刻(代表作はシロクマ)、ミロの鳥、バリー・フラナガンの仔象、ヘンリー・ムアの羊、その他を鑑賞しました。さらに、館林出身者藤巻義夫の生誕100年企画展では、昭和初期の上野や浅草などの、街並みを主題に木版画で表現した作品が多くあり、懐かしさを感じました。

 その後、林の中の渡り廊下を進むと、「彫刻家のアトリエ」がありました。このアトリエは、フランソワ・ボンボンの出身地、ブルゴーニュ地方のいなかの納屋を模した建物で、中にはボンボンのパリのアトリエが再現してあります。ポンポンが使用していた道具や写真、手紙など、制作のプロセスや時代背景について知ることのできる貴重な資料が展示してありました。

 最後に、地元の在野民俗学研究者、川島様の案内で、丘の上にある美術館から下って橋を渡ると、南側には江戸時代からの古い松林の保安林がありました。その中を彫刻の小径が約1km続いており、小径の両側に37体の彫刻が顔をのぞかせていました。多くの人に分かりやすいため、具象彫刻が多い様です。小径の彫刻すべてを鑑賞できなかったのは残念でしたが、北側の多々良沼を眺めて帰途につきました。当日は、青い空、白い雲、あふれる緑の中、すがすがしい1日でした。