彫刻あらいぐま またまたまた×2参上!
北浦和公園
リポーター : S.N.
2012年10月21日(日)、前日までの雨が嘘のような晴天のもと、彫刻あらいぐま第7回目のイベントが開催されました。
本イベントは、親子で北浦和公園内の野外彫刻のメンテナンス体験を楽しんでいただくための企画で、私たち、埼玉県立近代美術館ボランティア・チーム彫刻あらいぐまが主催しています。
今回参加していただいたのは、近郊にお住まいの親子8組です。
13:00
まずは美術館内の講座室にて、私たち彫刻あらいぐまの活動や、今回メンテナンス作業を行う彫刻についての紹介を含めたワークショップを行います。
参加者の皆さんは、少しだけ緊張気味ですが、これから初めて体験することへの期待に目が輝いています。
13:30
早速皆で野外へ移動します。
じつは北浦和公園内には、現在全部で21もの野外彫刻作品があります。
先日埼玉新聞の第1面に掲載された「みんなで選ぶMOMASコレクション ベスト10」で見事第1位に輝いた、音楽噴水の中にたたずむサキソフォン、西野康造さんの《風の中で》をはじめとして、美術館壁面と一体化した、田中米吉さんの《ドッキング(表面)No.86-1985》などがあります。これらをより深く知っていただくために、今回は中庭に位置している作品群をみんなで鑑賞しながら、4作品についてクイズ形式のイベントを行いました。
14:00
今回洗浄体験するのは、フェルナンド・ボテロ作《横たわる人物》と、橋本真之さん作《果実の中の木もれ陽》の2点です。
じっくりと作品と向き合っていただくため、2つのグループに分かれてメンテナンスに取り組みました。
まずは橋本真之さん作《果実の中の木もれ陽》のメンテナンスを。
こちらは、先述のランキングで21位となった作品です。
植え込みの中で木々に囲まれて静かにたたずむ姿が素敵な作品ですが、逆に、枝や葉っぱが作品の中に入ってしまったり、木で休憩した鳥の害を受けてしまったりすることが多いため、定期的な洗浄が必要な作品です。
素材はすべて銅で出来ているため、高圧洗浄器で全体を濡らしてから、中性洗剤を薄めた洗浄液で、スポンジを用いて汚れを落としていきます。
銅特有のひんやりとした触感を楽しみながら、洗剤をたっぷりつけて磨くと、汚れが落ちて、気分もすっきりします。親子で「そっちはどう?」などと声を掛け合いながら、和気あいあいと作業に取り組む姿が見受けられました。
最後はまた高圧洗浄器で洗剤を洗い落としてメンテナンス完了です。
続いて、フェルナンド・ボテロ作《横たわる人物》。
同じくランキングで、橋本さんの作品に次ぐ22位となった作品です。美術館入口付近に位置しているため、注目度も高い作品です。
こちらについては、既にボランティアメンバーが洗浄を終えておいたので、ワックスがけの作業を体験します。
ブロンズでできたこの彫刻は、ワックスで磨けば磨くほどつやつやと光って大変美しくなりますが、逆に、この過程を美しく仕上げないと作品の見た目に影響を及ぼしてしまうため、ワックスがけは重要な作業です。
蜜蝋にリグロインという溶剤を加えて薄めたものを、ちょっとドキドキしながら刷毛でぬっていきます。皆さん慎重に作業を進めますが、初めてのため「どうしても厚く塗り過ぎてしまう…」との声には、あらいぐまメンバーがコツを伝授しながら作業を進めました。
ワックスを塗り終えてからウエスで磨くと、次第にツヤが出てきました。比較的力と根気のいる作業ですが、5歳のお子様から皆さん、もくもくと作業に取り組みます。
後半は、2つのグループを入れ替えて体験しました。
15:00
約1時間のメンテナンス体験を終えて、講座室にて修了式を行いました。
参加者の皆さんには「楽しかった」「貴重な体験が出来た」「もっと他の作品も洗ってみたい」といった、うれしいお声をいただくことができ、私たちあらいぐまメンバーにとっても、貴重な1日となりました。
解散後、夕暮れ始めた光の中で、《横たわる人物》も《果実の中の木もれ陽》も、いつもよりも美しく、キラキラと輝いていました。
今回ご参加いただいた8組の皆様、本当にありがとうございました。
また来年、たくさんの方に参加していただけるのを楽しみにお待ちしています。