長崎の絵師、川原慶賀 (かわはらけいが、1786-1860?) は江戸時代後期、日本人の立ち入りが厳しく制限されていた出島の出入りを許され、オランダ商館の求めに応じて、日本の様々な文物を描いた膨大な数の絵画を制作していました。
とりわけ、慶賀は出島のオランダ商館の医師として来日したドイツ人の医師・博物学者、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト (1796-1866) と交流を深めました。日本の自然や生活文化、特に植物に対して強い関心を持ったシーボルトの要求に応えて西洋画法を習得した慶賀は、彼に随行し、長崎や江戸参府の途上で、植物の姿かたちを正確にうつした写生図を数多く描きました。シーボルトがヨーロッパに持ち帰った慶賀や他の絵師による植物図譜のうちおよそ1,000点はシーボルトの死後ロシアに渡り、現在ロシア科学アカデミー図書館に収められています。
慶賀の人物像を明らかにする資料は少なく、その多くの部分は謎に包まれています。しかし植物図譜をはじめ、長崎の風景や人々の暮らしを描いた作品は、この画家が鋭い観察眼と、見たものを生き生きとうつしとる高い技量を持っていたことを物語っています。
本展では、ロシア科学アカデミー図書館が所蔵する川原慶賀の植物図譜から125点を紹介するとともに、国内に所蔵されている作品資料を通して、慶賀の眼が何を見つめ、どのようにうつしとっていたのかをたどります。
会期
2017年4月8日 (土) ~ 5月21日 (日)
※会期中に一部展示替えがあります。
前期:4月8日 (土) 〜 5月1日 (月) 後期:5月2日 (火) 〜 5月21日 (日)
休館日
月曜日 (5月1日は開館)
開館時間
10:00 ~ 17:30 (入場は17:00まで)
観覧料
一般1000円 (800円)、大高生800円 (640円)
※( ) 内は団体20名以上の料金。
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方 (付き添いの方1名を含む) は無料です。
※併せてMOMASコレクション (1階展示室) もご覧いただけます。
主催
埼玉県立近代美術館
後援
駐日ロシア連邦大使館ロシア連邦交流庁
特別協力
ロシア科学アカデミー図書館、長崎歴史文化博物館
協力
フィンエアー、フィンエアーカーゴ、JR東日本大宮支社、FM NACK5
企画協力
株式会社アートインプレッション
出品作品リスト
2017川原慶賀の植物図譜 作品リスト.pdf
関連イベント
講演会「川原慶賀の長崎歳時記」
川原慶賀が暮らした江戸後期の長崎は、どんな様子だったのでしょうか。精霊流しやくんちなどの長崎らしい祭から、一般的な年中行事まで、現代の生活にも通じる歳時記と、植物画とはまた違った慶賀作品の世界をご案内します。
講師:下妻みどり (ライター、『川原慶賀の「日本」画帳』編著者)
日時:4月15日 (土) 15:00〜16:30 (14:30開場)
場所:2階講堂
定員:100名 (当日先着順)/費用:無料
講演会「川原慶賀の植物図譜」
シーボルトに見出された長崎の絵師、川原慶賀。ロシアに伝えられた慶賀の植物図譜の特徴とその魅力について、シーボルトとの交流や江戸時代の植物学の興隆といった時代背景とともにご紹介します。
講師:大場秀章 (東京大学名誉教授)
日時:4月23日 (日) 15:00〜16:30 (14:30開場)
場所:2階講堂
定員:100名 (当日先着順)/費用:無料
ミュージアム・コンサート
ジャズプレイヤーの枠を超えて活躍中のミュージシャンが花にまつわるナンバーなどをお届けします。
(1) 4月22日 (土)/出演:川嶋哲郎 (サックス、フルート)
(2) 5月7日 (日)/出演:井上陽介 (ベース)
各日とも15:00〜 (開場は30分前、演奏時間は約60分)/地階センター・ホール/60席 (当日先着順)/無料
担当学芸員によるギャラリー・トーク
本展覧会の担当学芸員が展覧会の見どころをご紹介します。
日時:4月29日 (土・祝)、5月13日 (土) 各日とも15:00〜15:30
場所:2階展示室
費用:企画展観覧料が必要です。
【スライドトーク】ご希望のグループにスライドを使って本展覧会の見どころをご案内します (予約制)
お問い合わせ・ご予約は教育・広報担当 (電話048-824-0110) まで。