アブソリュート・チェアーズ

2024.2.17 [土] - 5.12 [日]

 開館当初からデザイン椅子の名品を館内に設置してきた「椅子の美術館」が、従来のデザイン椅子展とは異なる新しい視点から「椅子」というテーマに挑みます。
 椅子は多くのデザイナーや建築家の創造性を刺激する絶対的なテーマであると同時に、アーティストにとっても魅力的なモチーフとなってきました。玉座のように権威の象徴となることもあれば、車椅子のように身体の補助となることもあり、電気椅子のように死や暴力とも無縁ではない椅子。また、私たちが椅子に座って向き合えば、そこには関係が生まれます。この上なく身近でありながら、社会や身体との密接な関わりの中で幅広い意味や象徴性をまとった椅子は、まさに究極の日用品と言えるでしょう。
 アーティストたちは椅子のもつ意味をとらえ、作品を通じて社会の中の不和や矛盾、個人的な記憶や他者との関係性などを浮かび上がらせてきました。アートのなかの椅子は、日常で使う椅子にはない極端なあり方、逸脱したあり方によって、私たちの思考に揺さぶりをかけます。
本展覧会は、主に戦後から現代までの美術作品における椅子の表現に着目するものです。椅子をめぐる国内外の平面・立体・映像作品83点を紹介し、アートのなかの椅子の機能や含意を読み解きます。

会期

2024年2月17日(土) ~ 5月12日(日)

休館日

月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館)

開館時間

10:00 ~ 17:30(展示室への入場は17:00まで)

観覧料

一般1300円(1040円)、大高生1040円(830円)

※( ) 内は20名以上の団体料金 
※中学生以下は無料
※障害者手帳等をご提示の方 (付き添いの方1名を含む) は無料

※企画展観覧券(ぐるっとパスを除く)をお持ちの方は、併せてMOMASコレクション (1階展示室) もご覧いただけます。

主催

埼玉県立近代美術館、東京新聞

協力

国立民族学博物館

助成

遠山記念館 芸術・学術研究等助成金

広報協力

JR東日本大宮支社、FM NACK5

出品作品

出品点数:83点

出品リスト:アブソリュート・チェアーズ出品リスト.pdf

見どころ

1.「椅子の美術館」が新たな視点で挑む、現代アートにおける「椅子」のテーマ。
2.「椅子」がもつ多様な意味や象徴性を、現代アートを通して徹底考察。
3.「椅子」をめぐる国内外の平面・立体・映像作品、83点(作家数28組)が集結。

章構成

第一章 美術館の座れない椅子
第二章 身体をなぞる椅子
第三章 権力を可視化する椅子
第四章 物語る椅子
第五章 
関係をつくる椅子

出品作家

フランシス・ベーコン、ミロスワフ・バウカ、ハンス・オプ・デ・ビーク、ダラ・バーンバウム、ミシェル・ドゥ・ブロワン、副産物産店、クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)、マルセル・デュシャン、アンナ・ハルプリン、檜皮一彦、石田尚志、工藤哲巳、スッティー・クッナーウィチャーヤノン、草間彌生、ジム・ランビー、宮永愛子、名和晃平、岡本太郎、オノ・ヨーコ、ダイアナ・ラヒム、ローザス、シャオ・イーノン&ムゥ・チェン、高松次郎、竹岡雄二、潮田登久子、アンディ・ウォーホル、渡辺眸、YU SORA

日本初展示! ミシェル・ドゥ・ブロワンによる滞在制作

日本初展示となるカナダの作家、ミシェル・ドゥ・ブロワンが滞在制作を行い、地下センターホールに 約40 脚の会議椅子を用いた新作の彫刻作品《樹状細胞》(*木の枝のような突起をもつ免疫細胞の一種)を設 置します。本作品は2005 年の《ブラック・ホール・カンファレンス》に基づきながら、日本国内で入手 した椅子を素材とし、当館の空間に合わせて再構成しています。椅子が寄り集まって形成される集合体 は、人間社会の暗喩と捉えることもできるでしょう。

[参考作品]ミシェル・ドゥ・ブロワン《ブラック・ホール・カンファレンス》2005 年、ヴァル=ドゥ=マルヌ現代美術館撮影:Peter Rosemann

ミシェル・ドゥ・ブロワン Michel de Broin
1970 年、カナダのケベック州モントリオール生まれ。ケベック大学モントリオール校にて視覚芸術分野の修士号を取得。モントリオールを拠点に、社会を構築する産業システムや、人間を支配する様々な力学を可視化する彫刻作品や映像作品、インスタレーションやパフォーマンスを発表。既製品や見慣れた形態を用いながら、社会や政治に対するアイロニーをユーモラスに表現する作風で知られる。

関連事業

座談会「美術のなかの椅子なるもの」

登壇者|山口惠里子(筑波大学教授)、建畠晢(当館館長)、鵜尾佳奈(愛知県美術館学芸員)、佐伯綾希(当館学芸員)
日時|2月23日(金・祝)13:30~16:00(開場は13:00)
場所|2階講堂
定員|80名(申込不要/先着順)
参加費|無料

石田尚志(本展出品作家)パフォーマンス+トーク+上映会

日時|3月10日(日)14:30~15:50(開場は14:00)
場所|2階講堂
定員|80名(申込不要/先着順)
参加費|無料
内容|作家によるパフォーマンス、トークと、椅子が象徴的に使われた映像作品の上映を行います。

檜皮一彦(本展出品作家) 「埼玉県立近代美術館の避難プロトコルをプレイする。」

日にち|4 月21 日(日)
*事前申込制。プログラムの詳細及び申込URLは特設ページをご確認ください。

担当学芸員によるギャラリートーク

日時|3月23日(土)、4 月13 日(土)15:00~[30分程度]
場所|2階企画展示室
参加費|企画展観覧料が必要です

スライドトークのご案内

ご希望のグループにスライドを使って展覧会の見どころをご案内します(予約制)。

お問い合わせ、ご予約は教育・広報担当(問い合わせ先:048-824-0110)まで。

図録

公式図録『アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの』を平凡社より3月26日(火)に刊行予定です。論考、全作品の作品解説などを掲載します。

ISBN:928-4-582-20735-4
172頁(カラー116頁、モノクロ56頁) 価格:3,300円(税込)

報道関係者の方へ

アブソリュート・チェアーズ_プレスリリース.pdf

Absolute Chairs Press Release_en.pdf



宮永愛子《waiting for awakening -chair-》2017 写真:木奥恵三 ©️MIYANAGA Aiko Courtesy of Mizuma Art Gallery 「宮永愛子:漕法」展示風景(高松市美術館、2019)

クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)《肘掛け椅子》2012 国立民族学博物館

石田尚志《椅子とスクリーン》2002

ミロスワフ・バウカ《φ51x4, 85x43x49》1998 国立国際美術館

ハンス・オプ・デ・ビーク《眠る少女》2017 タグチアートコレクション/タグチ現代芸術基金
©Studio Hans Op de Beeck

副産物産店《Absolute Chairs #1_rodin's crate》2024 作家蔵

アンナ・ハルプリン《シニアズ・ロッキング》2005/2010 Courtesy of ZAS Film AG

ダイアナ・ラヒム《インターベンションズ》2020- 作家蔵