第二次世界大戦後、画期的な表現を次々と生み出して注目を集めたニューヨーク。大戦中、戦火を逃れてヨーロッパから移り住んだ多くの美術家たちによって伝えられた近代美術がアメリカの若者たちを刺激し、新しい意欲的な表現へと道を開いたのです。
当時最先端の表現であったキュビスムとシュルレアリスムを乗り越えようとする試みは、アクションという画家の激しい身振りの結果として、あるいは広漠とした色面の広がりとして、抽象表現主義と呼ばれる新しい絵画を生み出しました。また男性用小便器を展覧会に出品したマルセル・デュシャンのダダ的な行為は、生活と芸術を等価とみなすネオ・ダダと呼ばれる作家たちに影響を与え、大衆文化への関心は大量消費社会を背景にポップ・アートというアメリカ独自の美術として花開きます。一方で1960年代以降、美術の根源を探るきわめて禁欲的、還元的な美術も同じニューヨークに登場します。そして現代美術の首都とも呼ぶべきその街では多くの日本人も活躍し、草間彌生や河原温のように今日では世界的に知られる作家も存在しました。
この展覧会では、現在改修のため休館中の滋賀県立近代美術館が所蔵する日本屈指の戦後アメリカ美術のコレクションを中心に、国内の美術館に所蔵される優品を加えた約100点の作品によって、ニューヨークという都市で繰り広げられたアメリカ美術の半世紀を紹介します。
展示構成
1章 新しいアメリカ絵画-抽象表現主義
出品作家:アーシル・ゴーキー、マーク・ロスコ、ジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、アド・ラインハート、サイ・トゥオンブリー、ヴィレム・デ・クーニング
2章 デュシャンとその末裔-ネオ・ダダとフルクサス
出品作家:マルセル・デュシャン、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、荒川修作、ジョン・ケージ、フルクサス、ジョージ・マチューナス、塩見允枝子
3章 パクス・アメリカーナの夢-ポップ・アートとスーパー・リアリズム
出品作家:トム・ウェッセルマン、ロイ・リクテンスタイン、アンディ・ウォーホル、ジム・ダイン、チャック・クロース、ジョージ・シーガル、ジェームズ・ローゼンクイスト、中川直人
4章 最後の絵画-ポスト・ペインタリーアブストラクション
出品作家:モーリス・ルイス、ケネス・ノーランド、フランク・ステラ
5章 限界における美術-ミニマル・アートとコンセプチュアル・アート
出品作家:フランク・ステラ、草間彌生、桑山忠明、カール・アンドレ、ドナルド・ジャッド、ロバート・モリス、ソル・ルウィット、リチャード・セラ、アグネス・マーチン、河原温
6章 ポスト・モダン以後の表現-ニュー・ペインティングとアプロプリエーション・アート
出品作家:杉本博司、ジョナサン・ボロフスキー、篠原有司男、シンディ・シャーマン、ジャン=ミシェル・バスキア、近藤竜男、依田寿久、フェリックス・ゴンザレス=トレス
会期
2019年11月14日 (木) ~2020年1月19日 (日)
休館日:月曜日(1月13日は開館)および12月27日~1月3日
開館時間
10:00 ~ 17:30 (入場は17:00まで)
観覧料
一般1200円(960円)、大高生960円(770円)
※( ) 内は20名以上の団体料金。
※中学生以下、障害者手帳等をご提示の方 (付き添いの方1名を含む) は無料です。
※併せてMOMASコレクション (1階展示室) もご覧いただけます。
主催
埼玉県立近代美術館
特別協力
滋賀県立近代美術館
助成
一般財団法人 地域創造
協力
JR東日本大宮支社、FM NACK 5
出品リスト
【HP用】「ニューヨーク・アートシーン」展 出品作品リスト_2019.11.13.pdf
関連イベント
ミュージアム・カレッジ2019 -20世紀アメリカの視覚表現-<埼玉大学創立70周年記念事業>
内容:企画展にちなみ、埼玉大学教養学部と埼玉県立近代美術館が共催する公開講座です。
時間:各回とも15時00分~16時30(開場14時30分)
場所:2階講堂 定員:100名 (当日先着順) 費用:無料
①11/16(土) 「ニューヨーク・アートシーン 戦後アメリカ美術の展開と特質」
尾崎信一郎(「ニューヨーク・アートシーン」展企画者/鳥取県立博物館副館長)
②11/23(土) 「ロスコ、コーネル、フレヴィン、孤独への旅、あるいは恒星の国アメリカ」
加藤有希子(埼玉大学基盤教育研究センター・准教授)
③11/30(土) 「ダンスとノン・ダンスの間:ジャドソン・グループとその周辺」
外山紀久子(埼玉大学大学院人文社会科学研究科・教授)
④12/7(土) 「ニュー・バウハウスからMITへ: G・ケペシュのアート&サイエンス」
井口壽乃(埼玉大学大学院人文社会科学研究科・教授/副学長 )
ミュージアムコンサート
①「ニューヨーク、記憶の襞を辿る」
日時:12月1日(日)14時30分~15時30分(開場は14時00分)
会場:2階講堂 定員:60席(当日先着順)
費用:無料
出演:奥平真吾THE FORCE SPECIAL
内容:長年ニューヨークで活動した奥平真吾が、その豊かな体験からジャズ・ スタンダード、オリジナル曲を選曲してお届けいたします。
②「笛は魔術師 エネルギーがほとばしる!」
日時:12月22日(日)14時30分~15時30分(開場は14時00分)
会場:地階センターホール
定員:60席(当日先着順)
費用:無料
出演:山下Topo洋平(ケーナ)、茨木智博(オカリナ)、森 悠也(ピアノ)
内容:ラテン系アーティストを含む多様な展示に合わせて、南米の笛ケーナのスペシャリスト山下Topo洋平がヴァライティに富んだ選曲でお届けいたします。
担当学芸員によるギャラリー・トーク
内容:担当学芸員によるギャラリートークです。
日時:12月14日(土)、1月11日(土)各日とも15:00~15:30
場所:2階展示室
費用:企画展観覧料が必要です。
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実施日:開館日の火・水・木・土曜日(その他曜日は応相談)
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