美術館で作品を見ることは、とても個人的な体験です。たとえ作品の前にたくさんの人がいても、誰かと一緒に美術館を訪れても、ある瞬間に作品と向き合って感じた思いは、「わたし」ひとりのものです。また、展示されている作品も、ある時代を生きた/生きている美術家という個人が制作しなければ、いまここに存在することはありません。ときには、個人コレクターが慈しみ、蒐集した作品が、まとまったかたちで美術館に受け継がれる場合もあります。このように、美術館は開かれた公の場でありながら、同時に時代や場所を超えた「個」と「個」の出会いによって成り立っていると言えるでしょう。
埼玉県立近代美術館は、2年間にわたる改修工事を終えて、2015年4月にリニューアルオープンを迎えます。その幕開けとなるこの展覧会では、「私的な/個人的な」という意味を持つ言葉「private」を手がかりに、核となる3つのセクションと、各セクションをゆるやかに繋ぐ作品群によって、当館のコレクションを紹介していきます。それは当館がこれまでに積み重ねてきた「個」と「個」の出会いを振り返る機会にもなるでしょう。
この展覧会がさまざまな「private」と新たに出会う場となり、「わたし」の感覚をしなやかに「ひらく」―その契機となることを願っています。
会期
2015年4月11日(土)〜5月24日(日)
休館日
月曜日(5月4日は開館)
開館時間
10:00 ~ 17:30(入場は17:00まで)
観覧料
一般800円(640円)、大高生640円(520円)
※( )内は団体20名以上の料金。
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方(付き添いの方1名を含む)は無料です。
※併せてMOMASコレクション(1F展示室)もご覧いただけます。
出品作品等
private,private 展示構成(PDF)
主催
埼玉県立近代美術館
協力
JR東日本大宮支社、FM NACK5
関連イベント
館長・建畠晢のリニューアルオープン記念漫談
日時:4月11日(土)13:00〜14:00
場所:地階センター・ホール
内容:当館館長の建畠晢がゆるやかにこれからの美術館の夢を語ります。/費用:無料/定員:当日先着50席
担当学芸員によるリレートーク
日時:4月11日(土)、12日(日)、5月5日(火・祝)、6日(水・振休)各日とも15:00~16:00
場所:2階展示室
内容:各セクションを担当した学芸員3人が、展示の見どころなどについてお話します。/費用:企画展観覧料が必要です。
リキシャカメラ登場
日時:4月11日(土)、12日(日)、5月5日(火・祝)、6日(水・振休)各日とも10:30~15:30
場所:北浦和公園(天候により中止の場合あり)
内容:本展出品作家の佐藤時啓が1999年に制作した「リキシャカメラ」を体験できます。可動式カメラに改造されたリキシャ(人力車)に乗ってカーテンを閉めると、膝の上の白板に外の風景が映し出されます。/費用:無料/混雑時はお待ちいただく場合があります。
ミュージアム・コンサート
日時:4月12日(日)13:30~14:00
場所:1階エントランス・ホール(立見のみ)
内容:川嶋哲郎のサックスが奏でるジャズ・スタンダードや即興演奏で、美術館のリニューアルオープンを彩ります。/費用:無料
トークセッション「MOMAT×MOT×MOMAS―コレクション展示の可能性」
日時:5月10日(日)14:30~16:30
場所:2階講堂
内容:近年意欲的な取り組みが目立つ「美術館におけるコレクション展示」について、3つの美術館の具体的な実践を参照しながら議論します(本展各セクション担当者も随時参加)。/出演:鈴木勝雄(東京国立近代美術館主任研究員)、藤井亜紀(東京都現代美術館学芸員)、梅津元(当館学芸員)/費用:無料/定員:当日先着70席
中川陽介 ヴィデオトークラウンジ
日時:5月24日(日)15:00~16:30
場所:2階講堂
内容:本展出品作家の中川陽介氏を招いて、映像作品の上映とカジュアルなトークを行います。/費用:無料/定員:当日先着50席
ご希望のグループに本展覧会の見どころをご案内します(予約制)
お問い合わせ・ご予約は教育広報担当(電話048-824-0110)まで。